毎日の筋トレがボディメイクを失敗させる!?適切なトレーニング頻度を解説します
この記事はこんな方におススメ
- 筋トレは毎日していいのか知りたい
- トレーニングの適切な頻度を知りたい
- 筋トレの頻度について色んな情報があり混乱している
※この記事は東大大学院で筋生理学修了、筋トレ歴5年の筆者が執筆しています。
目次
はじめに
結論からいうと、トレーニング頻度は目的によって変わります。つまり自分がダイエットしたいのか、それとも筋肉をつけたいのかによって、適切な頻度は変わるのです。
また、トレーニングの強度によっても毎日やっていいのかどうかが決定されます。そのため毎日の筋トレは正解であり、不正解でもあります。
世の中には様々な情報があふれているのでトレーニング頻度を設定する際に混乱しがちかと思います。なぜなら異なる方法論で様々な成功例が存在するからです。実際にこんなケースも考えられるでしょう。
- Aさん→毎日のスクワットで引き締まった体を手に入れた
- Bさん→週に2~3回のスクワットで全身の筋肉が増えた
こういったことは往々にしてあります。どちらもボディメイクに成功しているといえるでしょう。こんなことを聞いてしまうと、結局毎日やってよいのか悪いのかわからないと感じるかもしれません。
ここで考えるべきは「自分の目的が何なのか」ということです。
頻度を毎日にするかそうでないかによって得られる結果は変わりますので、自分に合ったトレーニング頻度を考えていきましょう。
※本記事で扱う「毎日」という言葉は、連日、同一部位を鍛え続けるという意味で使っています。脚を鍛えた次の日に胸を鍛える…そういったことを指すものではありません。
ダイエット目的であれば毎日軽い筋トレをするのもあり

効率的に体脂肪が燃焼する事実
毎日筋力トレーニングをすることで、体脂肪が効果的に燃焼することが期待されます。その理由はシンプルに運動によって消費カロリーがアップするからです。
↓
体内に蓄えたエネルギー源(体脂肪)が分解される
↓
体脂肪が減る=脂肪が燃焼される
こういった単純な理屈です。
一方で栄養学や運動に詳しい方はこう思われるかもしれません。「運動によって使われるカロリーなんてたかが知れている。それならば食事量を減らしたほうが脂肪燃焼には手っ取り早いのではないか??」
確かに運動で使われるカロリーは微々たるものです。実際、厚生労働省の「運動基準・運動指針の改定に関する検討会 報告書」からもこのことがわかります。
具体的には体重60㎏の人で考えると、1時間の自重の筋トレで大体200キロカロリー以下しか使わないとされています。更にジムで器具を使うような本格的な筋トレでさえ400キロカロリー弱しか消費されません。
茶碗一杯のごはんが大体200キロカロリー弱なので、一杯おかわりするだけで頑張って消費したカロリーを摂取してしまいます。一見すると毎日筋トレをすることで消費カロリーを増やすことは焼け石に水に思えてきます。
しかしご安心ください。毎日筋トレすることでEPOCの効果をたくさん受けることができるのです。
つまりは筋トレ後には通常よりも代謝があがった状態がキープされるということです。一時的に痩せやすい体になっていると考えるとイメージしやすいかもしれません。このEPOCは運動後、数時間にわたって継続することがわかっています。
要するに、毎日筋トレをすると常に消費カロリーが高い状態が維持され、体脂肪が分解されていきやすい…ということです。
スクワットチャレンジでダイエットに成功したアメリカ人達
論より証拠ということで毎日トレーニングをする具体例を見てみましょう。アメリカでは「スクワットチャレンジ」と称されるエクササイズが流行しています。簡単に言えば1か月間ほぼ毎日、自重スクワットをするというものです。
※厳密にいえば週に1~2日の休みはとります。
こちらは5週間実施されたようですがかなりの変化に見えます。他の経験者達の様子を見ても一定のダイエット効果があるといえるでしょう。
毎日の筋トレは筋肥大にはイマイチ!
筋肥大には中3日or中4日の頻度が理想
一方で筋肉を大きくするためには毎日の筋トレは効果的ではありません。なぜならば連日筋トレをしたところで、筋たんぱく質合成の増加は頭打ちになるし、筋たんぱく質分解が亢進してしまうからです。
…ちょっとわかりづらいと思いますのでもう少しかみ砕いて説明します。筋トレ終了後には以下の2つの反応が起こります。
- 筋たんぱく質合成…筋肉を大きくなるための体内現象。筋トレ終了後48時間程度持続する。
- 筋たんぱく質分解…筋肉がエネルギーとして分解される体内現象。筋トレ終了後60時間程度継続するとされている。
つまり筋トレ終了後2日から3日程度は筋肉を大きくしようとする反応と小さくなる反応がどちらも起こっているのです。
※筋肉はダメージを受けることで強くなろうとしますが、一方でトレーニング自体、体内の栄養源を使うものですので、少なからず筋肉が分解されてしまう側面があります。
ここでポイントは筋たんぱく質合成が高まっている状態で更に筋トレをしてもそれ以上合成が高まらないことです。それどころか分解の方ばかり高まってしまい、頑張れば頑張るほど筋肉は大きくなりません。例えるならば、雨降って地固まるはずが、雨ばかり降って一向に固まらない状態です。
ちなみに先述のスクワットチャレンジは自重の軽い運動ですので筋肉が萎縮する事態にまでは至らないと思われますが、バーベルやダンベルなどの重りを使う強い運動であれば休息日を入れたほうが良いでしょう。
例外!毎日筋トレをしていても筋肉がつく特殊な人たちもいる

ベンチプレッサーというベンチプレスの重量を競い合う競技者がいます。その中でも第一線に立つ児玉大紀さんはほぼ毎日ベンチプレスを行っています。この独自の練習方法を「エブリベンチ」と言います。
先ほどの筋たんぱく質合成、分解の理屈でいえば筋肉はやせ細ってしまいそうなものです。なぜなら筋肉が休む暇がないですし、スクワットチャレンジのような自重トレーニングよりも格段に強度が高いからです。
実際筋トレ歴5年の私もベンチプレスのような重りを扱う筋トレをした翌日には強い疲労感を覚えます。しかしながら、実際には児玉選手は非常に発達した大胸筋を持っています。これは一体どういうことなのでしょうか?
1つの仮説として、フォームが熟練されているために全身へ重りの負荷が分散されていることが考えられます。
本来のベンチプレスは大胸筋のトレーニングとされていますが、トップレベルの選手では局所的な筋肉への刺激はわずかなものになっている可能性があります。そのため翌日には回復してしまっているのかもしれません。
ここから次のことが言えます。
- 重りの負荷を全身に分散させる技術がある場合に限っては毎日トレーニングをしてもよさそう。
- たいていの人はそんな技術は持ち合わせていないので、重りを扱ったトレーニングをしたら休息日を設けるのが無難。
強度の高いトレーニングでも毎日できる人がいるのは事実ですが、それは高い技術を持った方々にできるトレーニングです。
健康のために強度の高いウェイトトレーニングをする場合は、休息日を設けたほうが良いでしょう。
まとめ
- ダイエットには毎日の軽い筋トレ(自重)は効果的
- 重りを使うような強度の高いトレーニング(同一部位)の場合は、筋肉を分解させるので毎日は行わないほうがよい。
- 筋肥大が目的であれば、基本的にトレーニングの頻度を中3~4日にしたほうがいい
参考文献
(1)山本 義徳 著、「山本義徳 業績集8 筋肥大・筋力向上のプログラミング 」、NextPublishing Authors Press、2017年
(2)田畑 泉 著、「究極の科学的肉体改造メソッド タバタ式トレーニング」、株式会社扶桑社、2015年